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研究まとめ (MAR212018)

A. KawaguchiのノンパラメトリックANCOVA事例研究 確率的順序を共変量の差に対して回帰するモデル化。 「確率」を「連続量」に対して回帰する場合もあり、当てはまりが悪いケースもありそう。 SchachtのノンパラメトリックANCOVA用SASマクロレビュー 手法としては「確率的順序」を「共変量の確率的順序」に回帰するというもの。SASマクロも順位計算が目立った。

研究ログ:ノンパラメトリックANCOVA

ノンパラメトリックANCOVAとは? 確率的順序で表される治療効果に対して共変量の平均値の差による回帰モデルを仮定して解析する手法。その回帰モデルでは,「共変量の平均値の差は0である」という制限を課した上で治療効果が推定される。この仮定はデータがランダム化臨床試験から得られたものという前提条件に由来する。 ノンパラメトリックANCOVAの利点 このモデルでは,確率的順序の推定値と共変量の標本平均の群間差を結合したベクトルに対し,「共変量の平均値の差が0」という射影行列を用いてモデル化する。このモデルさえ仮定すれば,確率的順序は重み付き最小二乗法を用いて推定される。このモデルに必要なのはデータがランダム化臨床試験から得られたという事実のみである。 ノンパラメトリックANCOVAの問題点 モデルは応答変数・共変量共に「平均値の差」を扱うものなので,個々の被験者の共変量に対する個々の被験者の応答の予測はできない。 また,この手法は層間・サブグループ間で治療効果の交互作用の存在を想定しておらず、またその評価も検討されていない。特に連続型共変量の場合,「平均値の差を扱う」モデルの性質上,「共変量の値(差ではない)によって治療効果が異なる」という説明が難しい 。 理論的側面としては,検定・信頼区間はWald型なので,データの状況次第(サンプルサイズが小さい,確率的順序が0または1に近い)では信頼区間の限界値が0または1を超える場合がある。 参考文献  Kawaguchi A, Koch G, Wang X (2011), Stratified Multivariate Mann-Whitney Estimators for the Comparison of Two Treatments with Randomization Based Covariance Adjustment. Statistics in Biopharmaceutical Research, 3(2), 217-231

研究作業まとめ

#参考文献 [まとめ資料][Google Spreadsheet] [Google Spreadsheet]: https://docs.google.com/spreadsheets/d/1UavTVGlAeaY8rREvWUTtDm_S5bnOoS41tmB74g7wbrI/edit?usp=sharing ROCへの手法を応用したもの,群間の共変量の分布の差を使ってモデル化するもの等色々アプローチアリ # いい Rパッケージも上記資料に記録。

客観的な主観

ある生物統計専門家がお亡くなりになりました。 言わば私の働く業界の土台を作った方で,私の前職の上司もこの方には頭が上がらない,そんな方でした。そういう世代の差もあり、直接何かを教わったりお世話になったり,ということはほとんどありません。 ただ一度,「企業側の人間」(私)と「規制当局側に近い人間」(その方)という立場でお目にかかったことがありました。とは言っても,私はまだ経験の浅い統計担当で,その方と話すのはもっぱら私の当時の上司 でした。 それは消炎鎮痛剤の臨床試験デザインに関する相談でした。鎮痛剤の有効性は基本主観評価しか方法がありません。当時は既に患者さんによる自己評価が主流になりつつありましたが,当時の私の勤め先のような小さい会社では古い考えも残っていて, 「医師による評価を使う方が臨床担当にとって結果も読めて安心できる」 ,そんな時代でした。 そんな中で冒頭の生物統計専門家との相談を持つことになりました。そこで聞いたのが 「客観的な主観評価を目指す」 といった趣旨のアドバイスでした。当時の私は分かったような分からなかったような。 今にして思えば,その方のおっしゃりたかったことは「透明性」,つまり「試験計画」「CRF」の設計の中で,「どんな痛み」を「どういう表現形」で評価するかを作り込み,患者さんに分かってもらうプロセスを事前に詳らかにすることの重要性だという理解に至りました。 何かの「正しさ」を決めるものは,その「もの」だけでなく,その「もの」に至るプロセス。 実は,これは今の勤め先の海外本社のスタッフも口酸っぱく言ったことと同じなのです。 こういう哲学を語ってくれる方がいなくなるのは実に残念です。 合掌。