ゲートキーピング法
前回触れた「ゲートキーピング法」の補足です。2000年代前半,多用量群だけでなく「多変量」「多時点」「多集団」にも適用可能な汎用的多重比較手法のニーズが高まってきました。
前回のbiomデータの解析では,以下の2段階で検定を実行しました。
- プラセボ群を含む全ての用量群における単調増加性の存在をJonckheere検定で確認する。
- 1で単調増加性が認められた場合に限り,プラセボ群と用量群の比較を高用量からのステップダウン法でWilcoxon検定により実施する。
- 「プラセボ群を含む全ての用量群において単調増加性はなく,分布は全て等しい」という帰無仮説族F1(実際は1つだけの仮説)と「プラセボ群と個々の用量群で分布は等しい」という4つ(4用量分)の仮説を含む帰無仮説族F2を設定する。さらに,F2に含まれるプラセボ群と用量1,0.6,0.2,0.05の分布に関する帰無仮説をそれぞれF21,F22,F23,F24とする。
- F1とF2は直列ゲートキーピング法で検定する。つまり,F1はF2の検定のためのゲートキーパーであり,F1が棄却されない限りF2を検定することはない。
- さらにF21~F24も直列ゲートキーピング法で検定し,F21はF22の,F22はF23の,F23はF24のゲートキーパーである。各ゲートキーパーの帰無仮説が棄却されない限り,その後に続く帰無仮説が検定されることはない。
もし,プラセボ群との対比較がDunnett法等ステップダウン法でない同時比較だった場合,3の手順は以下のようになります。
「F21~F24を並列ゲートキーピング法で検定する。F21~F24の各帰無仮説の棄却は,自身が棄却されさえすればよいが,適切に多重性を調整する。」
ゲートキーピング法は汎用的な多重比較の考え方なので,「複数変数」「複数時点」「複数サブグループ」等,色々な状況で適用可能です。
仮説族を「直列に配線」するか「並列に配線」するかは,その仮説族の重要性に依存します。上記手順は,当時の私が「薬剤の単調増加性」を重視した結果です。
その頃私は:挫折?と幸運
さて、勤め先の合併に伴い東京に舞い戻った私ですが,当時開講された社会人向け医薬統計大学院コースに入ることを発作的に決めました。発作的?そうなんです。それまでの私だと「学位なんてむり」とか言って知らんぷりしていたのですが,なぜかこの時はブームに乗って手を挙げました。
実際無理だった、というか学位は取得できなかったのですが、そのコースで今の妻と再会することになりました。色々あって交際スタート。
ただし,仕事の方はちょっと荒れ気味でしたね。割にリベラルだった会社(私はこちら側)と「上意下達が全て」のお役所会社の合併だったので,そもそも話が合うはずがない。その歪みが色々と出始めた時期でした。
今にして思うと,ビジネス成功のためには出身会社うんぬんよりも単純に「目標達成が全て」と割り切って,組織や人事を大胆に組み直し,出身会社の壁を破る対応が必要だったと思います。
「今の延長線上で何とかする・何とかなると思い込む」のは日本人のカルチャーなのだろうか?
コメント
コメントを投稿